キツネの神様の頼みごと その3

訪問先の奥さまのメガネの色は気になりながらも、本来の仕事である保険の要件にはいる。
要件は、ご主人の生命保険と息子さんの生命保険についてだ。

まずはご主人の生命保険。
なんと10億の死亡保障を付けたいとおっしゃる。
「ちょっと待って下さい。まずはどうして10億もの保障を希望されるのかそこからお話し下さい」
普通の保険の営業マンだったら、かなりの高額の掛け金になる契約。積極的に契約成立の方向に話を進めるだろう。

しかし変わり者と言われようと、私は基本的な考え方を持っている。
生命保険も取り扱っているが、まず一番に考えることは生きて行くことだ。
死亡保障はそのために最低限必要と思われる額に抑えるプランニングを提案する。
会社の経営のために大きな融資を受けていらっしゃる場合を除いて、そのような高額の保障はお勧めできない。
裁判官という仕事柄それほどの巨額の借入金があるとは考えられない。

はっきり言って、保険の掛け金は捨てるような物。
いつ死ぬか分からないのに、毎月高額な掛け金をずーと払い続け
結局、払い続けられなくなって解約するか、自分の方が先に死んでしまって受け取れなくなるかの確立が高い。
解約すれば損をする保険よりも、確実な利回りの貯蓄が堅実。

奥様にもそう話した。

すると

「いいんです。」奥さまがきっぱりと答えられました。
「主人はすぐ死にます」

「えっつ!!」驚く私に、奥さまは平然と
「主人は裁判でいつも神経をすり減らしています。間違いなくしばらくしたら死にます」
どうしてそこまで断言されるのか不思議に思いながらも

「しかし、つかぬことをお聞きしますが、現在ご主人はご病気をお持ちですか。
もし、現在治療中でしたら、引き受けに制限がつきます。もしくはお引き受けができないこともあります」

「いいえ。まったくの健康体です。今年の健康診断でも何の異常もありませんでした。」
「ではどうしてご主人がすぐに死ぬとおっしゃられるのでしょう」

その後の奥さまの話は驚くべきものでした。

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スピリチュアルカウンセラーYUMI