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キツネの神様の頼みごと その1
ある日いつものように仕事で車を走らせていると、目の前にそれはそれは美しい真っ白なキツネの神様が現れました。
銀白色のふさふさした毛に覆われた姿はしばらく見とれてしまうほどの美しさです。
特に尾の部分がみごとで、夕日に輝くパンパスグラスのよう。
パンパスグラスとは、日本名でシロガネヨシといって、その姿は巨大なススキに似たイネ科の植物です。
よく生花などに使わる真っ白のふわふわしたやつです。
目の前に現われる神様の姿を説明するのはなかなか難しいのですが、
今回のキツネの神様は、毛並みが、特に尾がそのパンパスグラスにそっくりでした。
真っ白な毛並みを見せつけるかのように、そのキツネの神様は車のフロントガラスの前にふわふわ浮かんでいます。
まさか毛並みを自慢しに現れたわけでもなかろうと思い
「何か御用ですか?」と聞いてみた。
すると
「実は今回子狐を一匹助けてほしい」、そう頼まれます。
どうもお身内の子狐が一匹人間に捕まっているらしい。
ちょっと待って。子狐が捕まっているとおっしゃいますが、
もしかしたらそれってペットとして誰かが飼っているのではないの。
そうなったら、いくらなんでも私には無理。
人が飼っているペットを、「そのキツネはお稲荷さんのお身内だから放してやって」なんて頼めるわけないでしょ。
人間の世界には人間のルールってもんがあるんだから。
ごめんね。今回はパス。
そう言って車を走らせ、到着した訪問先。
しかし、結局その子狐さんが絡んだ事件に、その後巻き込まれることになるとは
その時は考えてもおりませんでした。
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